2021/04/27
医師のライフプランはどう立てる?
作成の際に意識すべきこととは
ライフプランなんてまだ自分に関係ないと思っている医師の皆様、要注意です。
多くの医師は比較的、収入が高額で安定しています。忙しいから、面倒だから、まだまだ現役で働けるからと、ライフプラン設計を後回しにしている方も多いのではないでしょうか。「なんとかなるだろう」と高を括っていると、家計にじわじわとダメージが蓄積され、今から5年後、10年後、20年後に後悔することになるかもしれません。
今後のキャリアプランをイメージしつつ、リタイア後や子どもの教育もふくめたライフプランを立てることで、今後の収入と支出が可視化され、計画的な家計管理が可能になります。
この記事では、そもそもライフプランとは何なのかをおさえたうえで、必要な準備やキャリアプランもふくめ、ライフプランを立てる際に意識すべきこと、注意すべきことについて解説していきます。もともとライフプランについて考えていた方も、焦りを感じてライフプランについて調べはじめたばかりの方にも参考になる記事です。ぜひご覧ください。
目次
ライフプランとは
そもそも、“ライフプラン”という言葉には、どのような意味があるのでしょうか。
直訳すると“人生の計画”です。どのような人生を描きたいのかを考え、何を大切にするのか、何を実現したいのか、それにともなって想定される出来事や、出費を明確にします。
具体的には、仕事でどのようなキャリアを描くのか、何歳で家を買うのか、子どもの教育プランはどのようにするのか、セカンドライフはどのように過ごすのか、などが該当します。
ライフプランは世代にかかわらず、計画的な人生をおくるうえで役立つものです。
まずはキャッシュフロー表をつくる
ライフプランを立てるにあたって、まずは「キャッシュフロー表」をつくりましょう。
キャッシュフロー表とは、収入や支出をふくめた現状と、理想のライフプランを実現するために予想される今後のイベント・支出を表形式にまとめたものです。いまの状況が整理できるとともに、今後の人生において、どのような出来事が想定されるのか、どれだけの支出が想定されるのかが明確になり、マネープランが立てやすくなります。
無料フォーマットがインターネット上に多数存在していますので、自身で作成することも可能です。そんな時間はつくれないという方や1人では不安だという方は、ファイナンシャルプランナーに相談するのもよいでしょう。
収入は配偶者の収入から副業収入まで、支出は固定費から変動費まで、キャッシュフロー表で細かく洗いだせばだすほど、より具体的なライフプランの設計につながります。
医師のキャリアプラン
ライフプランを考えるうえで、同時に検討しておきたいのがキャリアプランです。変化をつづける医療業界。医師が置かれている状況も日々移り変わっています。変化の荒波に飲まれて方向性を見失わないためには、事前にキャリアプランを練っておくのがよいでしょう。年代別のキャリアについて考えていきます。
【20代〜30代中盤】基礎を身につけてスキルアップ
30代中盤までは、医師としての基礎を固めて、スキルアップする時期と捉えるのがよいでしょう。基礎が不十分であれば、今後のキャリアにも少なからず悪影響を及ぼします。とにかく経験を積み、知識を吸収することは、将来の選択にかかわらず無駄にはなりません。
また20代後半には、大学の医局に所属するかどうかを決めたり、人によっては後期研修中に専門を見直したりと、さっそくキャリアと向き合うタイミングも訪れます。
【30代後半〜40代】今後の方向性を定める
一定の経験を積んだ30代後半〜40代には、後輩の指導・マネジメントにあたる機会も増えてきます。求められる能力がこれまでと変わり、リーダーシップを発揮し、円滑にチーム医療ができるマネジメント力が試されるでしょう。
またこの時期は、転職・転科・開業のターニングポイントでもあります。勤務医の方のなかには、役職がみえてくる方もいるかもしれません。将来を見据えて、このままの環境でよいのか、はたまた方向転換するのか。経験と若さを兼ね備えているこの時期は転職にも転科にも開業にも有利です。今後の方向性はもちろん、必要経験を積めたかどうかや子育ての状況もふまえて、重要な判断が要求されるタイミングです。
【50代以降】キャリアをどう締めくくるのか考える
50代に入るとキャリアも終盤。開業・転職をふくめ、キャリアの集大成をどのような形で迎えるのか、いつまで医師として働くのかを、早めに定めて動きだす必要があります。
転職する場合、60代に入ると難易度が上がってしまうので、50代での実現を目指したいところです。この時期での転職は、給与水準よりも自身の望んだキャリアの締めくくりができるかどうかを重視するのがよいでしょう。
医師がライフプランを立てるときに
意識すべきこと
医師は働き方に特徴のある職業です。医師のライフプランを考える際にも、医師ならではの懸念事項を念頭に置いておきましょう。また同じ医師でも、働き方の違う勤務医と開業医では、意識すべきポイントに多少の違いもでてくるので注意が必要です。
子どもの教育資金をどうするのか
医師のお子さんの場合、将来的に親と同じ医師の道を志すことは珍しくありません。お子さんを医師にしようとした場合、多額の教育資金を覚悟する必要があります。
平成30年度に文部科学省が行った「子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まで、公立に通わせた場合の学費は総額約540万円なのに対し、私立に通わせた場合の学費は総額約1800万円と、3倍以上の資金が必要になることがわかります。また医大に関しても、私立の場合、国公立と比べものにならないほどの多額の学費がかかることは疑いようもありません。
子どもの意志を尊重したいという場合でも、医師への道を進むことも想定して、教育資金をどう確保するのか検討しておかなければならないでしょう。
開業・転職するのか
開業や転職によってもライフプランの立て方は大きく変化します。開業する予定がある場合は、それに備えた資金を準備しておくことも必要です。
開業・転職を予定している場合は何歳でするのか、それによって収入がどのように変わるのか、開業の際はどのくらいの資金が必要なのか。家族にも影響してくる要素なので、なるべく細かい部分まで変化の度合いを想定しておきましょう。
何歳まで働くのか
医師の方には会社員のように定年がありません。ライフプランを立てるにあたって、何歳まで働くのかをある程度定めておきたいところです。
退職の年齢によって生涯の収入や老後に必要な資金が変わってくるので、自身の理想のライフプランを考慮したうえで目安をつけておくのが良いでしょう。退職間際になってセカンドライフ資金が足りない医師も多いものです。
老後や働けない時期の資金をどう確保するのか
転職を続けた勤務医の退職金は期待できず、老後の資金が不足してしまう可能性があります。開業医は、勤務医よりもふだんの収入が多いといわれており、しっかりと貯蓄できれば、老後の資金に多少の余裕はつくれるでしょう。
なお、それは健康で問題なく診療をつづけられた場合です。開業医の場合、収入を失うリスクは常について回ります。開業医の方が怪我をしてしまったり、体調を崩してしまったりして診療できなくなってしまうと、勤務医の方以上に、生活資金への多大な損害を覚悟しなければなりません。
勤務医の方においても、開業医の方においても、退職したあとや就業不能期間への対策は必要です。貯蓄はもちろん、保険や資産運用、節税に積極的に目を向け、早い段階での準備がおすすめです。
後悔する前に
ライフラプランニングの検討を
ライフプランは、「やっぱり立てておけばよかった」と思ったときにはもう遅いもの。後悔先に立たず。想定外の事態に巻きこまれ、破産に追い込まれてしまう可能性もゼロではないのです。
早いうちからライフプランを設計し、想定外の事態にも備えておけば、いざというときにも冷静に余裕をもって対処できるかもしれません。将来への漠然とした不安も取り去ってくれるでしょう。
忙しくてとてもライフプランになんて手をつけられない、という医師の方は、ファイナンシャルプランナーに相談するのもひとつの手です。『ドクターのためのマネークリック』の「ライフプランニング(人生設計)サポートサービス」でも、ライフプラン設計をサポートしています。覚悟をもって、あなたの人生に真摯に向き合います。まずは一度ご相談ください。
「立てておけばよかった」から「立てておいてよかった」へ。早めのライフプランニングでぜひ理想の人生を実現してください。
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